アウトソーシングが向く企業とは?導入効果を知って課題解決につなげよう
企業の悩みである人材不足への解決策として、アウトソーシングが注目されています。
しかし、アウトソーシングには向く業務とそうではない業務があります。アウトソーシングによる効果を確実に得ていくためには、自社の課題を確認し、業務委託によって解決できるかどうかを判断しなければなりません。
今回は、アウトソーシング向きの業務、企業の課題、注意点などについて解説します。
目次
アウトソーシングに向いている業務
最初に、アウトソーシングで業務委託をするのに適した業務について解説します。
アウトソーシング向きの業務の特徴
アウトソーシングにおすすめなのは、日々各所で発生する定型業務です。
企業利益に直結せず影響を及ぼさない、事業戦略に深く関与しない業務であれば、内製業務にこだわる必要はありません。企業の仕事を外部に任せるにあたり、企業経営の根幹に触れないという点はとても重要です。
定型的な仕事で独自性が少なく、企業ごとの大きな差異があまり見られない業務であればアウトソーシング向きであると言えるでしょう。また、業務内容や仕事の進め方、対応方法が固定的で、ある程度マニュアル化できる業務内容も、外部委託が容易です。
さらに、委託業務に関する専門的な知識や技能の活用によって、効率化・スピード化が期待できる業務であれば、特にアウトソーシングに向いています。
アウトソーシング向きの具体的な部署の例
アウトソーシングできる業務は各部署に複数ありますが、なかでも外部委託と親和性の高い部署としては以下が挙げられます。
総務
電話・メール・来客対応、福利厚生関連業務、施設管理、文書管理、社内行事企画・運営、文書の管理など
経理
決算・申告業務、各種記帳処理、給与計算、年末調整、資産管理、税務関連業務など
採用
採用計画立案、応募情報の管理・対応、面接代行、選考スケジュール調整、説明会運営など
人事
給与計算、労務管理、社会保険関連など
※人事業務のアウトソーシングの詳細については以下の記事をご覧ください。
▶「RPOとは? サービス導入によって解決できる企業課題について解説」
アウトソーシングを利用すべき企業とは
アウトソーシングを利用することで高い効果が得られると考えられるのは、以下のような企業です。
定型業務の業務量に変動がある
年末調整や採用活動の開始時など、季節によって定型化した業務が発生する、新商品発売の際にコールセンターが混み合うといった場合には、アウトソーシングでの解決が可能です。
定型業務に時間をとられ、社員の残業時間が増大している
コア業務以外の作業が大量に発生し、社員の残業時間が増え続けている企業では、アウトソーシング活用を検討するべきであると言えます。
事務処理作業の効率が悪い
入力作業や入力データのチェック・データ格納などの事務処理作業が多いのに、その都度手の空いた社員が行っているため、ノウハウ不足で時間ばかりかかり業務品質が低いケースです。事務処理に慣れた外部人材の活用が効果的です。
定型業務にかかる固定費負担が大きい
定型業務処理のため自社でスタッフを雇用しているが、人件費がかさんでいるという場合には、アウトソーシングとの費用対効果検討が必要です。
オフィス移転やレイアウト変更の予定がある
普段の業務に引っ越しや移動作業が加わると、業務に影響が生じがちです。アウトソーシングをうまく活用して負担を軽減することで業務の遅れを防止できます。
備品管理・経理・採用の体制に不安がある
自社で行ってきたバックオフィス業務について見直しの必要性が感じられるという場合は、一部または統括的にアウトソーシング導入の検討を図る好機となります。
アウトソーシングの導入効果
アウトソーシング導入で解決が可能な課題には、以下のようなものがあります。
経営資源である人的リソースの有効活用
社内人材のコア業務への集中が実現し、事業の推進力が強化できます。定型業務にわずらわされることが減ると、社員の満足度の向上やモチベーションアップにつながり、定着率の改善が期待できます。
業務品質の向上・効率化
業務に特化した技術を持つ事業者への委託により、社員が片手間に処理するのと比べて作業精度が向上できます。スピード化が図られ、短期間での業務遂行がなされることで、企業運営全域が円滑になります。
社内での属人化の防止
目が行き届きにくい定型業務に関して、特定の社員による業務の属人化・固定化を防止できます。
人件費・固定費の軽減
繁忙期と閑散期の状況に合わせたアウトソーシングの活用が可能なため、定型業務に従事する社員の人件費・教育負担の軽減が図られ、費用配分を適正化できます。
組織の最適化
余分な人材を社内に抱えずにすむため、組織の肥大化を防止し、スリム化に寄与します。社内人材リソースの適切な配置により、効率の良い事業運営が実現できます。
アウトソーシングでよくある失敗例と注意点
アウトソーシングはうまく活用すれば、大きなメリットを得ることができます。
一方で事前の準備不足やアウトソーシングへの理解不足で、思うような成果が得られないケースも少なくありません。失敗例を参考に、注意するべき点を確認していきます。
失敗例1 委託業者への丸投げによる業務のブラックボックス化
アウトソーシング導入でよく聞かれる失敗が、企業による委託業者への丸投げです。
いくら実績のあるアウトソーシング事業者でも、各企業の内部事情をいきなり理解するのは難しいものです。導入に際しては両者間の方向性のすり合わせを行い、委託内容の十分な確認と企業側による進捗状況の随時チェックが必要です。
これを怠ると、自社の業務にもかかわらず業務内容がブラックボックス化してしまい、経過が把握できないという状況にもなりかねません。また、期待通りの効果が出ず、追加で依頼を重ねて契約期間内の費用が増大するといったケースもあります。
失敗例2 内部での検討不足により課題が解決されない
アウトソーシング導入時には、事前に社内での十分な検討と精査が必要です。
検討が不十分なまま一部の業務をアウトソーシングし始めたところ、途中で上層部からストップがかかってしまったという例もあります。そうなると、そこまでにかかった費用がすべてムダになり、作業を担当する部署やスタッフを一から振り分け直すということになりかねません。
あとから「内製化した方がよかった」といった批判が生じないようにするためには、社内体制をしっかりと把握し、適材適所の検討を行ったうえで、リソース不足をアウトソーシングで賄う形にしていきます。
失敗例3 アウトソーシングの理解不足による事業者選定の誤り
アウトソーシング事業者にも、得意分野やマッチングしやすい企業があります。
事業者選びを間違えてしまうと、思ったような成果物が得られない、業務品質が低下する、といった結果も起こり得ます。品質と比較して費用対効果が悪いのでは、アウトソーシングする意味がありません。
自社ニーズの明確化を前提とし、提供サービスや実績を比較検討しながら、事業者を選定していくことが大切です。
アウトソーシングへの十分な理解が自社の確実な課題解決を導く
アウトソーシングで解決できるのは、定型業務にかかる時間と人的リソースに関する課題です。うまく活用することで企業運営に大きく貢献しますが、自社ニーズとのズレや業務とのミスマッチがあると期待する効果を得にくくなります。
アウトソーシングによって自社のどの部分がサポートできるか、その効果をしっかりと見極めて導入を進めることが大切です。自社の課題を明確にし、解決策となるアウトソーシングを実施していきましょう。
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参考資料:
アウトソーシング活用の効果|中小企業庁