Can You Celebrate 周年イベント? 企画・運営・事例を徹底解説。

公開日:2017.06.06  更新日:2019.11.07

 

企業の節目、多くの場合、5~10年単位で開かれる周年イベント。

周年イベントの実務を任せられた皆さんは、「具体的に何から手につけて良いものか」と、困惑される方が多いと思います。

周年イベントは、開催間隔が長く、前回の担当者からの引き継ぎやフィードバックを受けることが難しいことが、その一因です。さらに、「経営陣も社員も納得のいくイベント」にするためには、結婚式の二次会や納会の幹事の数百倍の労力が必要です。

 

ここまで読んで既にやる気を失ってしまった周年イベント実務担当者の皆様、ご安心下さい。

本記事では、企業イベントを通じて、社内外の結びつきを高める専門家の視点から、周年イベントのゴール、イベント形態、効果、社員の巻き込み方まで、周年イベントを成功に導くポイント全てを網羅してご紹介させて頂きます。

周年イベント担当者の皆様がこの記事を読み終える頃には、イベント成功への道筋をはっきりと、確実に認識頂けるはずです。

 

周年イベント運営の事例ページはこちら

“WHY” 開催目的を整理する(なぜ開催するのか?)
“WHAT” ゴールを整理する(何を伝えるか?)
“WHO” 参加者を検討する(社内、社外等どこまで招待する?)
“WHEN” 開催日を検討する
“WHERE” 会場候補、広報チャネルを検討する
“HOW” 方法を検討する
“HOW MUCH” 予算と方法を検討する

 

上記を検討することで、「社員の参加率はどれぐらいになるのだろう?」などと言った具体的な懸念点が浮かび上がります。以下では、この思考法に基づいて、それぞれの決定に際するノウハウをご紹介します。

 

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2.周年イベントの意義とメッセージ(WHY ・WHAT)

「そもそも、周年イベントって本当に必要なんでしょうか?」

実務担当者として、一度は脳裏をよぎった疑問かもしれません。

確かに、利益を直接生み出すような性質のものではありません。内向けの行事だし、お金、時間、人とコストもかかってきます。

しかし、周年イベントは、普段は気付かないかもしれない、顕在化していない経営陣と従業員の間にある隔たり、組織に対する思いの不一致を解決できる有効な手段です。

 

2-1.経営陣の未来思考 vs. 従業員の現在思考

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周年イベントに限らず、社内向けイベントの成功に立ちはだかる大きな課題が、参加する側である従業員と企画する側である経営陣にある意識の違いです。以下では、参加する側と企画する側の意識の差を説明した上で、そのギャップを埋めるための考え方と施策をご紹介します。

 

周年イベントは、常に企業の未来を考える経営者からすれば、未来へ向かっていこうとするきっかけの場であり、未来への投資です。
この意識が従業員側には生まれにくいのが、周年イベントを行う上での最大の課題です。

経営陣は、未来に向けた中長期的な経営ビジョンがありますが、一方で参加者は今期、今の仕事内容といった現在思考に留まっています。

単純に会社の未来について語っても、“腹落ち”した理解を得られない可能性が高いでしょう。そのため、企画者は『経営側が伝えたい思い』を、参加者が受け入れられるように準備する必要があります。

 

それでは、具体的に何を準備してなくてはならないのでしょうか?

それは、参加者側の当事者意識です。
イベントに受け身ではない姿勢で式典に臨んでもらうためには、受け手側から意見をもらわなくてはなりません。周年イベントの内容を軸として、参加者の声、代替アイディアが出てくるような工夫を凝らすことが重要です。

また、従業員は、「それほどお金をかけてまでするイベントなのか?」「そもそもやる価値があるのか?」「それより給料に還元して欲しい」といった考えに陥りがちです。

これらの声を丁寧に拾い、参加者にフィードバックすることで、「聞いてもらえる」という心理的安心感を高め、確実な信頼を得て行きましょう。

 

2-2.メッセージを伝えるための3つの視点

戦略に基づいた周年イベントは、過去・現在・未来の視点から「所属する誇り」、「自社の強みと現状」、「指針とビジョン」を組織全体に浸透させることで、未来に向けた一歩を踏み出す一体感を醸成することができます。具体的に、この3つの視点は以下のような効果をもたらします。

 

過去から会社を理解する
社員に改めて、会社の歴史を知ってもらうことが出来ます。周年イベントを通じて、会社の成り立ちから「理念・思い」を感じ取ってもらいます。歴代の経営者や優秀なOBの人となり、仕事に対する姿勢を伝え、成功体験、失敗のエピソードを共有し、会社の強みを共有することが出来ます。

 

現在から一体感を作りだす
「いま、会社はどのような思いを持っているのか。」を社員に伝えることが出来ます。
また、社員間、または、社員と会社間の相互理解を推し進め、彼・彼女は「どんな人物なのか?どんな考えなのか?」を捉えて貰い、その上で現在の「会社と社会と関わり」を理解してもらうことが出来ます。

 

未来から希望を見出す
進むべき指針、ビジョン、世の中に対するポジションを伝えることが出来ます。今後の市場・業界の中でどのような企業でありたいのか、会社が目指す将来像を共有することが狙いです。

 

2-3.必ず出るネガティブな意見を受け止め向き合うこと

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周年イベントを企画する上で必ず出るネガティブな意見。
前述の通り、意見を反映することが重要な役割となる企画者にとって、これらの意見にどう向き合うかが重要です。
周年イベントの為のアンケート、普段の会議、広報を通じて意見をもらったら、必ずどんな意見にも感謝を伝えましょう。

もらった意見の発信方法のコツとして、あえて「ネガティブな意見を公表する」ことが挙げられます。これによって、「上に意見を言っても無駄だ」という考えを打ち消すことが出来ます。

加えて、「自分と同じ気持ちが他部署にもある」という、共感を現場に作ることができます。ネガティブな意見をフィードバックして、従業員と真摯に向き合っていきましょう。

 

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3.目的に合わせて選ぶ周年イベント詳細(HOW・WHEN・WHO)

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企業にとって周年イベントの重要性が分かったところで、周年イベントのスタイル、日取り、イベントコンテンツを具体的にご紹介していきます。

 

3-1.周年イベントのスタイル

式典型
一番、オーソドックスな周年イベントの形式です。ステージ上で、代表者がスピーチしたり、ゲストがパフォーマンスしたり、講演が行われます。

メリット:厳かなしっかりした雰囲気の式典。空気が引き締まる。
プレゼンテーション主体の周年イベントに相性が良い。
デメリット:静的で受け身になってしまう、相互交流が生まれにくい
式典後にパーティなどを開き、コミュケーションを促進する工夫が必要がある。

 

学祭型
屋台・ブース、ステージ上というように様々な場所でコンテンツを行います。参加者は好きな所に行く事ができるため、自由な雰囲気の中で式典が進められます。ステージで代表者が会社の思いを伝えることも可能で、社員は興味を持つブースに移動して交流を深めることが出来ます。

メリット:やりたいコンテンツが沢山ある場合、同時並行で展開できる。
社員の働いている姿や部署の仕事を紹介しやすい。
デメリット:コンテンツが多い分、関わる人数も増えて準備が大変。
企画を募集する際コンセプトの整合性が重要。

 

屋外型
運動会、旅行のような非日常空間で行う周年行事。

メリット:インセンティブとしての面を強く訴求できる。ワクワク楽しく、インパクトが強い。 キャンプファイア等、場所に合わせた企画が立てやすい 。 思い出に残りやすく、目的やビジョンを単純な旅行型よりも伝えやすい。

デメリット:伝える場とコミュニケーションをとる場のメリハリが必要 単純な遊びになる可能性。これも切り替えが重要。

 

3-2.日取りの決め方

周年イベントの形態だけでなく、日取りも目的に沿って選ぶことが重要です。
社員向けであれば平日を、社員の家族向けであれば、休日を選びましょう。

 

3-3.集合 or 中継スタイル

支社が全国にまたがっている場合、全国から一堂に社員を集めるのか、各地を中継でつなぐのか、決定する必要があります。以下では、それぞれのメリットデメリットを紹介します。

全国から一同に集める
メリット:全員が物理的に空間、時間を共有できるので感動や共感も大きくなる。
デメリット:大移動が発生するためコスト(時間&費用)が大きい。

各地の主要地に集めて中継でつなぐ
メリット:相対的にコスト(時間&費用)は押さえられる。
デメリット:メインエリア(東京や大阪)と地方エリアとで温度差が発生しやすいため、その差を埋める工夫が必要。

 

3-4.衣装への配慮は参加者満足度につながりやすい

数年ぶりの周年イベントを迎える場合、畏まった式典に慣れてない参加者は、必ず、服装を気にします。そうした事態を見越して、「男性はスーツ、女性はカジュアルスーツ」と具体的に伝えてあげましょう。

また、非日常感を高めるために、ドレスコードでの実施も一案です。その際は、支店や事業部など特定のチーム毎に「赤をワンポイントで入れる」などのテーマを与えてみるのがおススメ。チーム内でコミュニケーションを取れる機会が生まれ、より参加者満足度につながります。

 

3-5.社員に参加してもらう方法

特定の社員に、代表して登壇やコンテンツへの参加をお願いする場合も多くあります。

「出てくれない?」
「何で?忙しいから、ヤダ」

と、断られることが多いですが、 ここは諦めないことをお勧めします。少し強引となってもアサインした方が結果的に成功する傾向があります。最初はやる気がないように見えても、彼らはイベントが近づくと、各拠点やチームの動向が気になってきます。競争意識を利用して予選会の模様を社内報に載せて、上手くノセてあげるのも企画者の仕事です。

 

ここでの社員募集企画のミソは、社員の負担を減らすことにあります。

アサインを納得してもらったからと言って、企画自体を参加者に丸投げしてしまっては台無しです。必ず、たたき台を用意して、出演依頼者とコミュニケーションを取り、出演依頼者から代考案をもらった場合は積極的に受け入れましょう。

また、参加者が盛り上がりやすいのは、経営陣によるステージでの寸劇パフォーマンスです。普段は執務室にいるような、近づきがたい存在の上司が汗をかいているところを見せることで、従業員に親近感を抱いて貰います。周年イベントのコンテンツは、職場の上下関係なく取り組むことが重要です。

 

また、忙しい役員向けにオススメなのが、動画で流行っているダンスを踊ってもらうことです。動画で流行るダンスはコミカルなものが多く、日々の業務とのギャップから従業員がぐっと話しかけ易くなり、交流のきっかけになります。

 

3-6.会社によって一体感の表現は違う

自分の会社なりの一体感が何かを見つけることが、“手作り感”がある、“オリジナリティ”に溢れた周年イベントにつながります。

例えば、IT関係やサービス系企業のように、多くの部署やスキルを持つプレイヤーがいる企業の場合は、それぞれの持つ個性を表現するために、あえて雑多な空間を作りだし、各自が興味を持ったエリアでコミュニケーションが広がるような設計をして、その企業にしかないカラーを打ち出した周年イベントを企画しています。

周年イベントはこうあるべきだという既成概念を捨てることが、その企業にとっての一体感を作り上げるベースになるでしょう。

 

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4.会場決定、設計、広報チャネル(WHERE)

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次に、周年イベントのWHEREを見ていきましょう。Where=場所と聞くと、会場決定や設計を思い起こしますが、ここには、どのチャネルを使って周年イベントを広報するかという意味も含まれています(次章を参照)。

 

4-1.会場はワクワクできる場所を選べ

当事者意識を持ってもらうためには、信頼だけでなく興味という点がとても重要です。彼らが無関心のままでは、当然ながら会社の目標やビジョンは腹落ちしません。そのためには「面白そう!行ってみたい!わくわくする!」といった彼らが興味を持つ会場の場所選びは大切です。

例えば、テーマパークや観光地が近くにあるような会場。球場など、知っているけれども普段中々入る事ができないような会場を選んで彼らの期待感を盛り上げましょう。

 

4-2.地方から人を集める場合

開催日時によっては、休日手配、宿泊手配はどうなるか、という疑問を持つ社員は多いで
す。対応は早めにして、地方からの参加者を安心させましょう。

 

4-3.どうしても参加できない方へのケアも重要

出向者が多い会社や工場を抱えている会社の場合、契約、対応、生産ラインなどの都合上、どうしても欠席せざるを得ない方がいることもあります。

こうした方々に対して、当日の報告書を送りつけるだけではいけません。式典後には、トップまたは経営側が欠席したエリアに直接足を運び、ビジョンを伝えるのが望ましい対応です。

もしくは、当日のイベント動画をイントラに上げ、直接感謝メールをあげるなどして、当日参加出来なかった社員の疎外感を緩和しましょう。

 

4-4.広報チャネルとしての社内報

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さらに、従業員に周年イベントへの興味を持ってもらうには、適切なタイミングでの情報提供と公開が必須です。社員への情報公開で良く使われているのが社内報ですが、社内報を十把一絡げに考えてはいけません。
以下では、社内報を有効に活用する方法をご紹介致します。

 

周年イベント特別号を発行する。

周年イベントに特化した社内報を発行し、進捗報告をしていきます。企画者側の悩みを共有したり、皆から集まった意見のフィードバックも載せていきましょう。

 

紙 or WEB どちらが良いか

会社の特性によって、効果的な方を選びましょう。

普段WEBでの情報共有が多い場合は、あえて紙媒体を選び、特別感を演出すると良いでしょう。紙面で社内報を掲示するならば、実際に社員が見ているか定期的に直接目で確認し、ポータルサイトやメールで広報する際はPV数や開封率などで確認しましょう。

 

感想を求める

企画側の人数が多い時にオススメなのが、社内報の評判を、社員に直接聞いてみることです。休憩所、喫煙所、食堂にて、気軽な感じで聞いてみましょう。悪い意見やアドバイスが貰えたら、その意見は企画側にて共有し、その意見をどのように企画に反映するか話し合いましょう。

 

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5.周年イベントの予算はどのぐらいかかるか?(HOW MUCH)

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予算感は担当者が気になる事の一つです。こればかりは、希望されるコンテンツや規模によって大きく変わってくるので、文面上で申し上げるのは難しいですが、費用感を結婚式の披露宴や二次会など、自分が慣れている式典に置き換えて考えてみると分かりやすいかもしれません。料理、おみやげ、プログラムの内容で費用は変わってきますが、一人3~5万円が大まかな目安です。

宣伝臭くなりますが、1人3万円~5万円でなにができるか、まずは社内イベントを通じて企業改革の推進を支援する専門業者に問い合わせてみると良いでしょう。

 

6.最後に

長文となりましたが、周年イベントに関するご理解は深まりましたでしょうか?
もちろん、この内容を覚えろと言ってもそれは無理難題です。

周年イベントを企画する際に肌身離さず持つバイブルとして、ご活用してくだされば幸いです。

 

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