実際に食べてもらうのが一番!家電メーカーの体験型イベント事例

公開日:2016.01.15  更新日:2019.11.07

 

自社の製品やサービスのプロモーションを行ううえで大切なのは、顧客にその商品の一番のよさを理解し共感してもらうこと。そのための手段の一つとして、商品の実物や使い勝手を実感してもらう「イベントマーケティング」があります。今回は、イギリスで実際に実施された、キッチン家電製品のイベントマーケティング事例をご紹介しましょう。

 

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1.家電メーカーが1日限定でレストランを開業!その内容とは?

一般的にキッチン家電のプロモーションと聞くと、イベント会場で実際に試用できる商品を用意したり、簡単な試食品を用意したりする、いわゆる“お試し”という方法を思い浮かべるのではないでしょうか。今回ご紹介するドイツの家電メーカーMiele(ミーレ)社は、この“お試し”という視点にひと工夫加えたイベントを企画しました。

それは、単なる試食にとどまらず、「Miele Grease-less Spoon Cafe」と名付けられた本格的なレストランを1日限定でロンドン市内に開いてしまったのです。

 

そもそも、同社がこのイベントでプロモーションを行った製品は、キッチンユニットに組み込まれた蒸し調理器(スチームオーブン)でした。今回の舞台である、イギリスのキッチンについて少しご紹介させていただくと、イギリスの多くの家庭では、冷蔵庫や電子レンジなどのキッチン家電は、コンロやオーブン、シンクなどと一緒にユニット化されています。

また、蒸し調理器は名前の通り、蒸し料理を行うための器具です。蒸し料理は、近年のヘルシー志向の影響もあり、イギリスでも中流階級を中心に人気のある料理です。しかし、昔ながらの鍋型の調理器と比べると、家電タイプの蒸し器はまだまだ一般的ではなく、購入にまで至る人はほんの一部にすぎません。

さらに、「普通に油を使って調理したほうがおいしいのでは?」という意見も根強く、蒸し調理器はなかなか市場に浸透しないという背景もありました。実際にイベントを開催したことにより、こうした意識はどのように変わっていったのでしょうか。

 

2.大切なのはやっぱり……料理の味!

「Miele Grease-less Spoon Cafe」で提供されたメニューは「steam up」と名付けられたイングリッシュ・ブレックファスト。バタートーストと卵料理、ソーセージ、ベーコン、ベイクドビーンズ、トマトのコンフィ、マッシュルームなどが1枚の皿の上にのったボリューム満点の料理です。

イギリス人にとってはおなじみの、正統派の朝食ともいうべき料理ですが、油を使って料理される品目も多いため、一皿あたり1,000kcalを超えることも少なくありません。しかし、同じ料理をMiele社の蒸し調理器で調理すると、たったの533kcalにおさえられるのだとか。カロリーは通常の半分で、さらに油を一切使わないため非常にヘルシーに調理できるのです。

 

残念ながら、イベント実施後の売り上げデータは示されていませんが、実際にレストランに来店したお客さんの反応は「味も普通と変わらない」「ヘルシーでおいしい」というポジティブなものだったとか。肝心の味も非常に高い評価を得られたことがうかがえます。

 

3.リアルな味を体験できたことが、大きな反響につながる

この「Miele Grease-less Spoon Cafe」が多くのお客さんに支持されたのは、なんといってもそのイベントが試食という経験ではなく、食事という体験ができる本格的なものであったという点です。味が普通と変わらずおいしいという点を訴求するのであれば、大々的なイベント化せずとも、電気店の中で簡単な試食品を用意する程度でも可能です。

しかし、Miele社の商品以前に「家電タイプの蒸し器」自体が一般的なものとしての理解が低い状況では、数多くのお試し品が並ぶ電気店では、顧客層との接触時間が限られることから、よりおいしく、そしてヘルシーな料理を作ることができるという商品最大の魅力を顧客の頭の中に植えつけることが難しいでしょう。

 

今回のMiele社の取り組みは、1日限定のレストランで食事ができるという「特別な体験機会を提供」し、その体験の中で家電タイプの調理器で作った食事、ひいてはMiele社の製品で作った食事がおいしかったという「記憶をインプット」することで、自社の商品の魅力を最大限伝えることができたイベントマーケティングの良例です。

こうしたイベントの実施は、マス広告に比べて手間がかかるものの、記事や広告では伝えきれない情報を、直接顧客に伝えることができます。結果として、そうした手間が大きな効果を生む要因となるのです。効果的なキャンペーンをしたいと考えているならば、ぜひこの「イベント」が持っている力に注目してみてはいかがでしょうか。

 

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