ビジネスマッチングイベント、知っておきたい運営フロー
ビジネスマッチング、それは企業の新たなパートナーとしてビジネスチャンスを見つけ出す機会となるイベントです。参加者のニーズを踏まえイベントの完成度を高めることが成功への重要なポイントとなります。
本稿では、来場ゲストや、スピーカーの手配、出展者への対応など企画や準備、運営などでお悩みの担当者にとって参考になるイベントノウハウ事例を交えてご紹介します。イベント運営にお悩み方はぜひご一読ください。
目次
1.ビジネスマッチングとは
ビジネスマッチングとは、新たな商談、営業先、提携先などを紹介する場です。しかし、それはただ単に自社の商品を売る相手先としてだけではありません。資金面や建物、設備などのハード面、ノウハウや人材などのソフト面も含めて不足しているリソースをお互いに補うことで新たなビジネスチャンスを創出する場ともなるのです。
大企業はもとより、経営資源に乏しく知名度やネットワークが少ない中小企業やスタートアップ、ビジネスメソッドが不足している自治体などにはとりわけ有効な場であるといえます。
現在では銀行や自治体、民間団体が橋渡し役となり各地でビジネスマッチングが行われています。また、ビジネスの国際化を踏まえて日本と海外の企業を結ぶ取り組など、マッチング方法も多岐にわたっています。
2.ビジネスマッチング運営の課題
ビジネスマッチングに参加したいという企業のニーズは様々です。ニーズとして、以下の点をあげることができます。
・技術に特化した提携先や下請け会社を探している。
・技術を評価してくれる企業とのパイプを持ちたい。
・下請け・元受けの枠を超えて協業できるような提携企業が欲しい。
・様々な企業と交流をしてビジネスにつなげたい。
・効率的なPR方法を見つけたい。
・他業界との交流から新たな発想を得たい。
・飛び込み営業よりも効率的な方法を探したい。
・世界と交流を行い、ビジネスチャンスを広げる足掛かりにしたい。
運営する側はこのような参加企業のニーズに沿いながらビジネスマッチングの場を提供する必要があります。
例えば、業種を超えた交流を希望する企業をターゲットにする場合、幅広い業界の企業を集める必要があります。逆に技術や自社の強みを生かしたいという企業をターゲットにした場合には、最新の技術を展示し、情報交換や商談の機会を提供するイベントを開催する必要があるでしょう。
ビジネスマッチングイベントを開催する企業や運営者は参加企業の多彩なニーズに合わせて満足するイベントを行わなければなりません。
3.ビジネスマッチングイベントの種類
ビジネスマッチングイベントにはニーズに即した様々な種類があります。開催地域や主催団体も多種多様で、大手メガバンクが主催するものから民間企業や自治体、地域の商工会議所まで様々な団体が、東京や大阪など大都市圏から日本全国の各地方でビジネスマッチングイベントを開催しています。
■地方自治体や商工会議所
例えば、前述の異業種間のビジネスマッチングのニーズに関しては地方自治体や商工会議所、青年会議所などがエリアにある幅広い企業への参加を呼び掛ける方式でビジネスマッチングを行っています。例として、浜松市や相模原市では下記のイベントを行っています。
ビジネスマッチングはままつ|http://www.hamamatsu-bmf.jp/
ビジネスマッチングさがみはらコミュニティ|http://www.sagamihara-jc.com/schedule/20180323/
■民間企業
また、業界に特化した場として例をあげると、フード業界に特化した「アグリフードEXPO」が東京で、更に業界を絞り込んだ「ミートフードEXPO」が東京と大阪で開催されています。
アクリフードEXPO東京|https://www.agri-foodexpo.com/
ミートフードEXPO(東京・大阪)|http://yakinikufair.com/business/
■官民一体
ほかにも、官民一体となったマッチングとして農林水産省の提唱する「農業女子プロジェクト」というコンセプトに沿い、民間の信用金庫や東京の民間企業が全国の農業女子とコラボして新しい取り組みを始めるビジネスマッチングも行われています。
農業女子プロジェクト|https://nougyoujoshi.maff.go.jp/
4.イベントの運営フローとは
イベントの開催には大きく分けて「企画・準備」「当日の運営」「アフターフォロー」という3つの段階があります。イベントの準備から開催、フォローまでの流れは以下のようになります。
4-1.企画、及びイベント前日までの準備
この段階では誰をターゲットにして、どのようなイベントを行うのか、といった企画から始まり、企画という設計図に基づき会場やイベント設営の手配を行います。準備する内容には、スタッフの手配やイベントのレジュメ作成、タイムスケジュールの作成、イベントの司会や講演などを依頼する登壇者、タレントへの出演交渉など多岐にわたる業務が発生します。
4-2.当日の運営
運営当日は、会場の設営やスタッフミーティング、入場者の整理などを行うほか、実施するコンテンツによってはリハーサルが必要になる場合もあります。また不特定多数の人が出入りする場所ではセキュリティの問題も当然発生します。想定していなかったトラブルへの対応も必要になることも考えておかなくてはなりません。イベントの総括プロデューサーのほか、進行を管理するタイムキーパーやトラブル対応の専従スタッフが必要不可欠です。
5.規模が大きくなればなるほどプロが強い味方に
イベントの開催には実務面で様々な課題があります。当日の運営や終了後のフォローはもちろんですが、準備段階での「ゲストの召集」や「会場の手配」「スケジュールの作成」「会場設営」といった運営面。そして「集客」や「費用対コスト」の検討や外注業者の選定など隠れた部分も含めると通常業務を圧迫する程の業務量になります。
イベントの規模が大きくなるに従い、関わる関係者も増え、準備から運営・管理に必要な手間は膨らむことになります。また、規模によっては道路使用許可などの許認可が必要になることもあります。集客状況によって会場の変更を考える必要がある可能性も忘れてはいけません。
特に運営ナレッジが社内に蓄積されていない場合や新たに立ちあげるイベントの場合には、来場者や顧客対応など、重要な業務に社内リソースを集中したいものです。イベント業務全体や必要に応じて、イベントのプロフェッショナルに一部のアウトソーシングを行うのも一つの方法です。
事項ではイベント専門企業ニューズベースのビジネスマッチング事例を紹介します。海外と日本企業の橋渡しという難易度の高いイベント事例です。
6.運営を業務委託されたお客様の声
6-1.Tech In Asia Tokyo
▼イベント概要
「Tech In Asia Tokyo」とは、日本のスタートアップ企業の国際的なビジネスマッチングを支援するイベントです。日本からのスタートアップ企業が、自社を世界中の企業家、投資家、テクノロジー業界関係者に自らの技術やビジネスプランをアピールします。アジアでは7回の実績があり、8回目に日本開催が実現しました。
自社メディアであるTECH IN ASIAを活用して集客、マッチング共にリアルで交流する、日本に居ながら海外ビジネスパートナーと出会えるイベントとして、参加者から大きな反響をいただくことが出来ました。
▼イベント内容
有名企業社長による講演やパネルディスカッションで、会場内が盛り上がりを見せました。また、投資家とスタートアップ企業がしっかりと話しができる「投資家専用のブース」を設け、さまざまなビジネスマッチングのきっかけ作りができる場を用意しました。
スタートアップ企業によるブース展示では、会社の規模に関係なく自社の事業の売り込みを積極的に行える催しとして、各企業の白熱したサービス紹介を見ることができました。
▼イベント開催までの課題
Tech In Asia Tokyoは、日本国内外の出展者、参加者が集まるイベントのため、文化や常識も多岐に渡り、各国の出展者、参加者が安心してビジネス商談が行える場を作ることが課題となりました。
また、運営スタッフに関しては、スタートアップ企業に興味のある学生や賛同してくださるお客様を中心としたボランティアスタッフに運営を手伝ってもらいたいという要望がありましたが、どうしたら集められるのかというノウハウがありませんでした。
大前提として、イベントをスムーズに運用するべく、イベントを適切にリードしてくれる信頼の置けるパートナーの必要性を感じていました。
▼イベント専門企業アウトソースによる解決
課題解決の為イベント専門企業にサポートを依頼したところ、イベント当日だけではなく、事前の準備から懇切丁寧なサポートを受けることができました。
まず、運営スタッフの募集から徹底したレクチャーがありました。前述の通り、ボランティアスタッフを中心に運営をしていきたいという要望がありましたが、それに対して募集のタイミングからスタッフへの運営レクチャーの方法など、運営に関する仕組みやノウハウについて教えていただきました。そして、海外よりお越しいただく日本に土地勘のないお客様には、事前に出店案内をするなど、当日スムーズに運営ができるような配慮がありました。
今後も、日本での開催は規模を拡大して行う計画であり、今回のイベントを通して、イベント当日だけでなく事前の準備からしっかりと進めていくことが重要なのだと実感しました。企業側もお客様側もスムーズにイベントに参加することができると、より充実したイベントになり得ることがわかりました。
イベント専門企業に業務をアウトソースすることは、煩雑な業務を委託するだけでなく、結果として、参加者の満足度向上に繋がりました。
6-2.エンジニアサポートCROSS 2017
▼イベント概要
「エンジニアサポートCROSS 2017」とは、「ITエンジニアが交流する場を作り上げたい」という思いが起点となり開催された収容人数1,200人の大ホールを使った国内最大級のITエンジニア勉強会です。
組織やプログラム言語、専門分野の異なるITエンジニア達が交流する学びの場は、2012年の初開催から今回で第6回を迎えました。
▼イベント内容
会場方式やコンテンツ、各セッションを通じて「より多くのITエンジニアが、上下関係無く本心で語り合い、会社や専門分野を越えて交流し、複数の技術の見地から学びを発見できる場所」を提供しました。
ついたてで仕切ったオープンな会場は、各会場のセッション(CROSSでは各プログラムをセッションと呼びます)の盛り上がりがダイレクトに伝わってきます。
各スピーカーのポジショントークなしの白熱した議論や最新の技術や知見を学ぶことができる内容となりました。
▼イベント開催までの課題
チームメンバーの入れ替わりが多いことから、プロジェクト推進に関わるノウハウを継承する点に課題がありました。
また本業が忙しい中、ボランティアでプロジェクトを手伝ってくれている実行委員に業務負荷をかけない配慮も必要でした。準備から当日にかけて、実行委員自らが行うよりもスムーズに推進できる専門的知見を持つパートナーが必要でした。
▼イベント専門企業アウトソースによる解決
第2回開催以降、参加者人数が拡大し、スムーズなイベント運営をする為には、イベント運営のプロフェッショナルによるリソースと知見が重要だと感じました。
その為、さまざまなノウハウを持ったイベント専門企業にサポートの依頼をしたところ、プロジェクトの進行を代行してもらうことができ、実行委員全員が本来集中するべきプログラムの企画に専念することができました。
当日までの準備や当日の進行に関わる手配関係、制作進行のディレクションや当日の運営サポートなど、多岐に渡る細かな作業まで代行してもらったことにより、
当日はスムーズな進行となり、参加者の満足度を高めるオペレーションが実施できました。
その後第6回開催の今回まで開催の度に利用し、現在では日本最大のIT勉強会を共に作り上げるパートナーであると感じています。
イベント規模が大きくなるほどイベント全体の統率を取ることが大変となる為、イベント専門企業の利用は必要不可欠だと思っています。
また、定期的にイベントを開催する場合は、信頼の置ける企業に継続して依頼することで、より安定したイベント進行となり、主催側も参加者側も充実感の得られる素晴らしいイベントになり得ます。
7.ビジネスマッチングイベント開催時の課題と解消方法
6-1,6-2にて、ビジネスマッチングイベントの事例を紹介してきましたが、ビジネスマッチングイベント開催時に起こる課題とは、具体的にどのようなものが多いのでしょうか。
イベント専門企業に業務を委託することで得られるメリットは、下記のような課題解決が可能な点にあります。
・イベント当日までの細かな設営等の準備に何が必要なのかわからない。
→運営に関するレクチャーを受けられ、ノウハウをしっかりと学ぶことができる。
・イベント当日までのスタッフへのオペレーションレクチャーができない。
→イベント準備に知識のないスタッフへの十分なレクチャーが受けられ、当日安定した運営が可能となる。
・当日のイベント運営への不安がある。
→本番時の想定外の対応や突然のトラブルへの対応がスムーズに行える。
・漠然としたイベントイメージはあるものの、具体的なコンテンツが思いつかない。
→イメージを伝えると具体的なイベントコンテンツの提案をもらえる。
・本来の業務に支障をきたさないリソースの確保がしたい。
→準備に多大な負担を感じることなく、主催者は本来の業務に集中できる。
・開催後のリードフォローがうまくいかない。
→目的に応じて、開催後のフォローについても相談可能。
ビジネスマッチングイベントは、ただ開催するだけでは開催メリットが少なくなります。
ビジネスマッチングイベントの開催は、開催後のビジネスへの発展が目的となることが多く、その為にはイベントの内容を充実させる必要性があります。
十分な事前準備とリソースの確保は参加者の満足度向上に大きく影響し、蓄積したノウハウを持つイベント専門企業の利用はこうした内容をまとめて解決することが可能です。
ビジネスマッチングイベント開催時には、是非一度検討してみてはいかがでしょうか。
8.まとめ
ビジネスマッチングイベントは集客や販路の拡大など新たなビジネスチャンスを模索する企業にとり、改善の糸口となる大切な場です。民間企業から商工会、自治体まで様々な切り口で開催することが可能です。
だからこそ、出展者のニーズをしっかりと捉えイベントを企画することが成功への大きな鍵になります。しかし、イベントの開催には企画、集客から設営、運営、アフターフォローまで様々な業務が発生します。
限られた社内リソースを有効に活用しイベントを成功に導くためにも、プロフェッショナルへのアウトソーシングを行う経営判断が必要です。ご紹介した事例も参考にしていただき、外部業者とコラボレーションを行うことで、イベントを有意義なものにしてください。