展示会、出展のメリット。成功するために必要なポイント知っていますか?
展示会といえば、東京ゲームショウや東京モーターショーなどの大規模なイベントを思い浮かべる方が多いのかもしれません。しかし、企業や各種団体が開催する展示会は、数万人単位の大規模イベントばかりではありません。全国各地で、業種やジャンルに関わらず大規模な会場から中小規模な会場で開催されています。
展示会は、一般消費者の入場を制限しているところも多く、基本的には企業間での取引の場として催されています。展示会は有形商材無形商材関係なく、全ての業界において活用されている、いわばビジネス社交場ともいえるでしょう。
しかし、展示会に出展したからといってリードが増え、営業成績が簡単に上がるわけではありません。展示会出展には出店費用やブース作成費用、人件費などのコストもかかるために開催するメリットのみならず、開催後の成果までも考えなければなりません。
そこで、今回は展示会の効果、メリットやコスト、成功するために必要な要点をご紹介いたします。
目次
1.展示会出展の真の効果とは
展示会への出展には多く経費がかかり、また通常業務に加えて規模に合わせて展示会用の人員も必要となるため、決して簡単に出展することはできません。
そこで展示会出展にあたって、出展から売り上げが出るまでの流れを整理してみましょう。
展示会には、【社名・製品名の認知度向上】から【製品興味・関心の向上】を狙い、結果としての【リード・名刺獲得】、そして、【商談】、【契約】と大きく分けて5段階のフェーズがあります。
まず第一に、展示会の出展成果目標を立てなければなりません。
一例ではありますが、見込客開拓のための名刺獲得を目的とした、都内のIT化の推進を支援する総合エンジニアリングの大型展示会に出展するケースを考えてみましょう。展示場への来場者数は平日1日のみの開催で2万人を予測、扱う商材はB2B商品で、来場者はエンジニアが中心です。
出展するブースは、入口から最も遠いエリアで広さは一小間(3m×3m)と仮定すると、まず問われるのは、接触機会者数です。
想定来場者2万人のうち、関係者を除いた直接的な見込客を8割程度の1万6千人と仮定するとして、一番奥まで足を運ぶ人はどれだけいるのかを見なければなりません。来場者の半分程度がくまなく会場を見て回ると仮定すると、約8千人と接触機会があると推測できます。
8千人が自社のブースの前を通るとして、ではどうやって足を止めてもらい、コミュニケーションを取り商談への流れを作れるのか。それにはブース作りの工夫と、運営スタッフのオペレーションで結果は大きく変わるといえます。
そこで非常に重要になるのが名刺獲得です。
来場者の名刺を獲得することによって、新規顧客への商談への1ステップが踏めるといえます。ただ、ここで注意をしなければならないのが、ただ名刺さえ獲得すれば良い、ということではありません。
もし来場者のニーズも把握せず、ブースを通った来場者と適当に名刺交換を行った場合、結果的にメールDMやダイレクトメールなどの展示会後フォローを行ったとしても商談までたどり着くことが困難となります。
そうなると集めた名刺リストも無駄となり、費用対効果も低くなってしまいます。本来の展示会の真の効果を出せなくなりますので気を付けましょう。
展示会の効果を最大化するためにも、事前に「ブースに来てほしい人物」と「展示している商品・サービスはどのようなものなのか」を明確化することが大事です。ブースでも商品の見本を展示したり、目を惹くポップなどを活用し、その2点をわかりやすく表現しましょう。
2.展示会のメリットとは
ここで、改めて展示会出展のメリットを4つに分けてご説明します。
メリット1:見込み顧客と対面接触ができる
展示会は規模やテーマにより様々な形で催されていますが、来場者は基本的に一般消費者ではなく、その展示会のテーマに関わる企業に勤めている方、最新情報を入手したい方、そしてその出展ブースと取引をしたい方がほとんどです。つまり、来場者全てが見込み客であり、その見込み客と直接対面できることが展示会出展の最大のメリットでもあります。
対面接触はルート営業に力を注ぐベテラン営業マンと違って新人や若手にとっては大きなチャンスでもあり、ブースに立ち寄った来場者とコミュニケーションを深め、企業の課題やサービスの活用法について意見を交わす絶好の機会です。
ただ単純に展示会で獲得した名刺をもとに展示会リストを作って営業に渡すといったやり方だけでは機会損失となります。そうならないためにも少なくとも一元管理できるようなデータベースを作り、どの見込み客が過去の展示会に来場したか、再来場を促す方策はないのかといったマーケティング施策が必要です。
メリット2:展示会テーマに関心・関連がある人が来場する
展示会のテーマは主催者により絞り込まれており、そのテーマに沿って関心のある見込み客が来場するため、展示会テーマに対して関連性が深いほど、自社と来場者の需要供給がマッチしやすくなります。しかし、テーマがあまりにも大きいテーマであると、出展している商品やサービスに興味関心度が低い方の来場者も比率として大きくなるので出展する展示会にも注意しましょう。
メリット3:一度に多くの人に自社サービスを知ってもらえ、認知度アップが狙える。
会社や製品の認知度向上を図れるのが展示会です。展示会にて配布される冊子にも自社紹介がされ、展示会によっては商品・サービスのコンテストが行われることもあります。そのような機会も利用し、多くの来場者に自社製品・サービスを認知してもらえることも一つのメリットといえます。
メリット4:顧客とのコミュニケーションを深化させる
展示会は見込み客だけが来場するのではなく、既存顧客も来場することもあります。事前にアポイントを取ることで顧客との親睦を深めるということもできます。また、既存顧客に対して新サービスの紹介もするアップセル・クロスセルの提案をすることが可能です。新規顧客獲得や、認知拡大だけではなく、既存顧客への再アプローチができる点も展示会のメリットとなります。
3.展示会出展のコストも認識しておこう
上記のようなメリットもありますが、展示会へ出展するにあたってのコストを考える必要があります。そこで、今回はギフトショーを1例にどれほどのコストがかかるのかご紹介いたします。
1.展示会出展コスト
展示会には様々なコストがかかります。もちろん、展示するブースの規模にもよりますが、ここでギフトショーでのブースプラン費を見てみましょう。
ギフトショーの出展料金はギフトショーHPにてこのように提示されています。
1小間
3.0m(間口)×3.0m(奥行き)×2.7m(高さ)……¥421,200(税込)+オプション預り金(¥80,000~¥160000)
3.0m×3.0mが1小間とありますが、企業によってはこの広さで出展することが難しい場合もあります。その場合には2小間、3小間と大きくブースを借りることになりますが、金額も倍増となるため、ブースを借りるだけでもコストが高くかかります。
2.展示物、配布物の準備
展示会はブースを作るのも重要です。看板の作成や展示物を乗せる台の準備など、細々とした設置物も必要となってきます。また、従来のパンフレットや展示物をそのまま使う場合もありますが、新たに制作したり、ノベルティを変えたりする場合に備えてコストの見積もりや長めの期間設定が必要です。
4.成功への第一歩は「来場者の目的」を知ること
来場者を知るには主催者側と密なコミュニケーションを取ることをおすすめします。
なぜなら展示会に出展することは、獲得した見込顧客、リードへの営業活動のスタートとなるからです。展示会がこの目的に沿って具体的にどんな規模でどう来場者を誘導しようと考えているのか、事前にアンケートを取るなどして来場者の目的を把握し、自社の企画に活かします。
次に一元管理した見込客、リードのデータを元に、フォローのシナリオを組むことが重要です。
顧客を育成するナーチャリングは、企画部門だけでなく、営業の現場からも声を吸い上げる体制を作ります。このナーチャリングは、展示会の翌日からすぐに電話する、後日ゆっくり電話する、メルマガなどネット部隊に任せる、営業の直接訪問などに分け、フォローのレベルを分けておくのも効果的です。
見込み客を顧客にする案件化までには長期の時間がかかることも想定しておきます。そうすれば展示会自体は好評だったが、売上に貢献していないといった批判を避けることにもつながります。
5.費用対効果を確認しよう.
ここで展示会の費用対効果も検討しておきましょう。展示会出展が決まれば、出展に見合う費用対効果を見なければなりません。投資効果(ROI:Return On Investment)の有無を確認しましょう。
まず、費用としては、当日のブース設営やノベルティ費用、パンフレットの制作、スタッフ人件費などのほか、プロモーション費用なども加算されます。
これらの費用に対して、利益は、商談化した売上額が相当します。しかし展示会では金額では表せないような企業イメージの向上、長期に渡る顧客醸成効果などもあり、これらも金銭換算を行ったうえで利益として計上します。
また、金額面以外のROIの指標としては、以下のようなものがあり、より効果がはっきり見えるようになりますので参考にしましょう。
・来場者に対する投資額(総投資額/総来場者数)
・販売に対する来場者数の目標達成率(総来場者/目標来場者数)
・来場者数に対する販売率(販売数/総来場者数)